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「……」
おばさんは私の質問に答えず、ただ無言で回答を待っていた。
そんなおばさんへの苛立ちをなんとか落ち着かせようとゆっくり息を吐き出す。
「…本気だよ」
「なら今すぐ考え直しなさい」
「…!」
あまりにも高圧的な言い方におばさんを睨むけど、おばさんも私を真っ直ぐ見据えているから睨み合っているような状況になる。
いつもは小柄で朗らかで可愛らしいおばさんが、ただの横柄な女の人に見えた。
「…やだ」
「波瑠ちゃん」
「おばさん、どうしたの?どうしてそんな言い方するの。なっちゃんが何したの」
私の言葉におばさんからも苛立ちが滲むのがわかった。
私から視線を離すと事務所の机に両手を着き、これ見よがしに溜め息を吐く。
「…いいから約束しなさい。もうこれ以上夏生に深入りしないで」
「さっきは私が夏生の傍にいて良かったって言ったよ。ねぇ、おばさんの言ってることおかしいよ」
「…それとこれは別よ。私は波瑠ちゃんが可愛くて言うのよ。あの子は波瑠ちゃんに迷惑かけるから。だからわかってちょうだい」
「おばさんはなっちゃんが嫌いなの…!?」
「そんなわけないでしょう…!」
バン、と事務所に荒々しい音が鳴り響いた。
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