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おばさん、と口にしたつもりだったけど、声が喉に張り付いてしまったように出て来なかった。
どうしておばさんを酷い人のように思ってしまったんだろう。
小さな身体から、こんなにも夏生への愛が溢れ出ているのに。
どうしようもなく愛おしいと、叫んでいるのに。
「…座敷童様なんか居なくなればいいと、何度思ったことか。座敷童様を誰より恨んでいるのは…この私なのよ」
…子を想う母の気持ちが痛烈に胸に突き刺さり、苦しさに耐えきれなくなってＴシャツの胸元を強く握る。
低く、唸るように呟いた後、おばさんはゆっくりと背筋を伸ばした。
振り向いた顔は笑っていたけど…さっきの人形みたいな笑顔じゃなく、泣きそうな程の脆い笑顔だった。
「…いけないわね、女将がこんな風じゃ。従業員に示しがつかないわ」
「…そんなことないよ。それに従業員の皆は、おばさんの苦悩をきっとわかってる」
眉を垂らしておばさんが笑う。
二人で散らばった書類を広い集めながら、おばさんがぽつりぽつりと夏生の事を話してくれた。
「…いつかは座敷童様に捧げなければならない子だから、高島さんに全てを任せて私は愛情をかけずに育てるつもりだったの」
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