生きる

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  同じ身体なら、わらしが冬馬くんの分まで栄養を摂ってくれればいいんじゃないか。 わらしがお酒を飲まなかった間、冬馬くんの体調は絶好調だった訳だし。 そう思って板さんにわらし用の食事の膳を用意してもらったけど、わらしは一切手をつけなかった。 酒の膳。女。 それだけが『鳳来』と交わした契約だとわらしは言う。 ならば。 「怖くないか」 「怖くないよ。だってもうわらしから離れることはないもんね。なら何回取引したって同じだって結論に至ったの」 …夏生をそう説得するのに時間が掛かったけど。 わらしを睨む夏生を横目で盗み見た。 「贄が目を覚ますまで俺と取引するつもりか」 「そういう難しいことは考えてない。ただ何か食べて欲しいだけ」 「食わんでも贄は死なんぞ」 「これ以上痩せてくのを見てられないの。良いから早く食べてよ。そうしないとお酒運ばせないからね」 「……」 わらしは眉間に深い皺を作ると身体を起こし、手を合わせる。 背筋もスッと伸びて、いつ見てもこの時の姿勢はとても上品で綺麗だと思う。 より線が細くなったせいか、凄みも増して見える。 「いただきます」 「はい、どうぞ」 不格好なおにぎりが仄かに光りを放つ。 それを掴んで口へ運ぶのを夏生と眺めた。  
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