1543人が本棚に入れています
本棚に追加
/1229ページ
「わらしが、私に?」
そんなまさか、と眉間に力を入れつつ、二人で遊んでいた日々を思い返してみた。
…うん、やっぱりそんな風に感じた事はない。
ただ向かい合って遊んでただけで、そう実のある会話もなかった気がする。
だけど、わらしを楽しませてあげたいと思っていた。
いつかは笑わせてあげたいと。
「それだよ。波瑠は座敷童様に畏れを抱かず、色眼鏡で見ることも無く、一個人として扱っていただろう?まるで只の人間のように」
「…それ、わらしが怒るやつだよね」
実際、「座敷童を何だと思っている」とネチネチ言われている。
眉間に皺を寄せて、さも面白くなさげな顔で。
「口ではね。でも、内心は…」
「内心は?」
「…これは御本人も気付いてらっしゃらないと思う。多分、ちづ乃もそうだったんだろう。だからつい重ね見て呼んでしまったのかもしれない」
「……」
覚えてないのがもどかしい。
わらしがどんな顔をしてその名前を口に出したのか、とても気になる。
「…誰なんだろうね」
「うちの関係者ではないね。だから、百年以上前に座敷童様と関わった人だろう」
「そんなに昔の人なんだ…」
最初のコメントを投稿しよう!