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わらしにとっては百年なんて僅かなものかもしれない。
だけど、この百年の間にも百年より前にも、沢山の人に関わっているはずで。
その中で唯一の特別な存在。
家族か、友人か、――はたまた恋人か。
「……」
…わぁ。
ドキドキと胸が高鳴る。
別に重ね見られたことが嬉しかったんじゃない。
わらしにもそういう特別な人がいたんだと思うと、堪らなく気持ちが高ぶってくる。
「座敷童様のお心は死んでない。ただ、頑なに閉ざそうとしているだけなんだ。…一緒にいるから、僕にはそれが良くわかる」
憂いを帯びた冬馬くんの瞳が呼吸に合わせてゆっくりと瞬いた。
以前夏生が、冬馬くんとわらしがダブって見えると言っていたのを思い出す。
…それって身体だけじゃなく、こうして感情をも共にしているからだろうか。
「…どうして心を閉ざすんだろう。わらしに何があったの?」
「…僕にはその理由が何となくわかるけど」
「え、何?」
「それは波瑠自身で気付いてもらいたい。お傍にいれば、きっとすぐわかるよ」
「……」
何とも意味深な言葉に思わず眉を寄せてしまった。
わらしが私達を遠ざける理由。
…そんなの、さっぱりわかんない。
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