生きる

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  片側からじわりと熱が混ざり合う。 つむじ辺りに夏生の吐息を感じて、背骨のもっと奥深い部分がぞくりと震えた。 「お前って馬鹿だよな」 夏生は私の手を握ったまま、もう片方の手で顔の横に落ちた私の髪を弄び始める。 突然目の前に現れた男らしい手首に胸がざわついた。 「…そう、かも」 小さな声で返事をしながら考える。 …あれ?近い。 最近、私に触る事を避けてたのに急にどうして。 怒ってるから? え。これ、怒ってる時の仕草? 「頑固だし向こう見ずだし俺の気に食わない相手にほだされやすいし」 「………ごめん」 「…ま。それ全部ひっくるめて波瑠なんだし、しょうがないとは思ってる」 「しょうがない」という言葉に暖かみを感じて顔を上げると、至近距離で視線がかちりと合わさった。 見下ろされる瞳が予想以上に優しくて、混乱していた脳味噌が一気に黙り込む。 その代わりに心臓がうるさく騒ぎ始めた。 「どうせ俺は波瑠のそういう部分にも惚れたんだし」 「……」 「惚れた弱みってやつ。カッコ悪ぃ。…結局何されたって許すんだろうな。むかつくけど」 髪を弄っていた指が、いつの間にか私の頬を滑っていた。  
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