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冷静になれない頭で頑張って考えてみる。
夏生は私に怒っていた。
それで、何でこんな流れになるんだろう。
そんな要素、なかったように思えるけど。
これがオトコとオンナの間では普通だというのなら、私には一生理解できそうにない。
「た、タンマ」
脇から腰を撫でられて、ついに悲鳴を上げた。
夏生の眉間に皺が寄る。
「…まだ腹しか触ってないんだけど。もう少しくらいいいんじゃないの」
「も、もう少しって」
「ずっと我慢してたんだけど」
「我慢…?…っ、」
するりと。
あまりにも自然な流れで夏生の手がTシャツの裾から侵入し、素肌に触れた。
身体を強張らせる私にぐっと近付き、顔の横に肘を付く。
吐息と視線が絡む。
二人分の重みを受け、ソファーが更に沈み込んだ。
「…冬馬が起きるまでは波瑠に触らないって、願掛けしてた」
そっか。
それでしばらく素っ気なかったんだ。
成る程、夏生だって毎日わらしの傍にいるんだし、強く願ったから冬馬くんも起きてくれたのかもしれない。
わらしに食べさせる事ばかりを考えていたけど、せっかく直接取引をしていたんだから、私もそう願えば良かった。
…なんて光の速さで思ってはみたけど、口を噤んで息を潜める。
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