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目が合っているこの状態で、脳が口を開くことを拒否していた。
まだ信じられないくらい生々しい感触が口の中に残っているから、開いてしまったらまたさっきのアレをされるかもしれないと思うと、身体が石のように固まる。
「どこまで触られたって言ってたっけ。あいつに」
タンマって言ったのに。
夏生の熱い手はTシャツを引っ掛けながら上へ上へと侵入してくる。
おへそが外気に晒される。
――ついに胸に到達しそうになって大きく息を呑んだ時、夏生は手を止めて私の目を正面から見つめた。
「…大丈夫?」
「……」
私の心音が異常なまでに早い事に気付いたんだろう。
きっと、過呼吸の心配をしてくれている。
過呼吸を引き起こしそうな気配はなかったけど、私の知らない夏生の目は肉食獣のようで――
ああ、そうだ。航一さんと一緒にいた、あのぎらぎらした目の白人男性を思い出してしまって。
「…ちょっと、怖い」
正直に言えば、なんだかんだで優しい夏生なら退いてくれると思ったんだけど。
「慣れてくれないと困るから、慣れて」
「……」
「本当に心底無理で、嫌悪感しかなかったら言って」
そう言い放って、手が下着越しに胸に触れた。
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