中、染めし

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  肌に感じる気配。 …夏が、行ったか。 聞き慣れた低い鐘の音に、己の意識がはっきりしてくる。 ぐずぐずと感じるのは入れ物の不調。 それが治まると同時にゆっくり瞼を上げた。 目に映るのは、行灯の明かりを身に纏いながらいつもの場にいつもと同じように腕を組んで俺を見下ろす男。 毎度の事ながら、見慣れたその仏頂面に思う。 それが座敷童を迎える態度か、と。  
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