そのいち

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「にゃーにゃー」 ある晴れた昼下がり。一匹の子猫が泣いていた。 きっと漢字にしたら鳴いていた。の方が正しいのだろうがおれには泣いているように感じた。 「どこだ」 酷く枯れ、冷たい声は本当に自分のものかと疑ってしまう。 ここ数日、気の休まる日などない。 そんなおれが、一匹の声を探すなど、どうかしてる。 「にゃー」 さっきより近くなった声。辺りを見渡せば……いた。きれいな段ボールに、ひろってください。とガキが書いたのだろう。ひらがなで汚い字で、そう書いてある中に、そいつはいた。 「にゃー」 黒猫。そのくせ、目が青い。 嫌に目立つその子猫は泣いていた。 おれはそいつを見下す。 うるさい、黙れ、ゴミ、邪魔、泣いてんな 一気に負の感情が流れ出す。 あぁ、いらぬもの。 お前もおれと一緒で捨てられたのか。 そう、思った。 思ってしまったら一気に親近感が増す。 どうしたものか。 おれはその場に立ち止まったまま。
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