fall

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なめらかな長い黒髪をポニーテールに結う、どの女子と比べても整っていると言う他ない程の、美貌の持ち主。 きっちりと着た制服も、どこか品のあるように見える。 自分のクラスの委員長だった。 彼女はその容姿と打って変わって、押しの強そうな声で言った。 「あんた何してんのよ!こんなことしたって何にもならないでしょ!早くそこから降りなさい!」 おれは振り返って、じっと彼女を見つめる。 鬱陶しいとは思わなかった。 ただ、自分をひき止めてくれる人がいるとは思っていなかった。 それ故に、自分の決意に揺らぎが生じた。 だがそれを必死に抑え込む。 もう自分は引き返せないところまで来ている。 後戻りはできない。 「ありがとう。でも、決めたことだから」 おれは生きてきた中で一番と言えるくらいの、満面の笑みを彼女に向けた。 彼女ははっと真剣な顔で驚き、それ以上何も言わなかった。 視線を前に戻す。 ゆっくりと、歯を食いしばる。 そして少しずつ体の重心を前に動かし、体が傾きながら宙に投げ出される。 ふわりと空気に包み込まれたような感覚。 神よ、いや叶うのであれば誰でもいい。 願わくば、あの彼女に幸せを。 願わくば、あの5人に絶望と死を。 おれはそんなことを考えながら、風を纏い落下していった。
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