熱中症

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ダリーヤ遺跡群、少し前まで川底だった場所に立つプラントの占拠範囲内で、ヘヴィマインVを布設するロキのブラストの姿が在った。 ツェーブラ、クーガー、エンフォーサー、ケーファー、と統一性の無いパーツ構成の彼の機体は、少し前まではヘヴィガードシリーズで統一された重火力兵装専用機だった。しかし重火力兵装一本に絞りきる事が困難だと判断した彼は機体を一新、再スタートを切ったのだ。 『こんなもんか…』 三つのマインVを目のつきにくい瓦礫の影に布設したロキは、近くのリペアポッドへ弾薬補給のために移動した。幸い最寄りのリペアポッドは空席で、いつでもウェルカムな状態だった。 ロキの機体が弾薬補給を開始したその時だった。 突然ディスプレイにボーダーの名前が羅列する。その数五人、そしてその名前の後ろには《撃破》の文字。状況から考えて答えは一つだった。 『…踏んだのか?』 今さっき仕掛けたマインV、それを踏んだ以外有り得ないが、まさか三つで五機も掛かるとは思わなかった。僅かな時間差で地鳴りのような爆発が響き、火柱が上がるのが見える。 『…仕掛け直しか』 補給を終え、再びマインVを仕掛けにプラントへ降りる。中立一歩手前までハッキングされたプラント。そのそばに転がる無数の鉄屑。改めて現場を見ると不思議で仕方ない光景だった。 とりあえずプラントの占拠状態に修正を掛けながら、再びマインVを布設する。さすがに警戒するだろうが、時間稼ぎにはなるだろう。その程度の考え方で三つ全てを布設し、プラントを完全に取り戻したロキは再び補給に戻った。直後だ。 再びディスプレイにボーダーの名前が羅列。そしてやはり《撃破》の文字。 『少しは警戒しろよ…』 リペアポッドの中でロキはそう思わざるを得なかった。
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