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飛鳥が家に来なくなり、1ヶ月が経とうとしていた。
隆正は夜、良樹の部屋へ来て話をしていた。
「良樹、飛鳥は元気なのか?」
「うん…まぁ、多少は仕事の疲れが出てるみたいだけどね。後は、そんなには気にならないよ?」
「そうか…ところで良樹。お前、まさか学校で飛鳥としてないだろうな!?」
「えっ!?」
父の言葉に、良樹はドキッとする。
「し、してないよっ!!」
「本当だろうな?学校で、見られたりしたら、ただでは済まないぞ?」
「わかってるって!!」
父は、良樹の話を聞いても、心は穏やかにならない。
「飛鳥…」
部屋に戻った父が携帯を開くと飛鳥からのメールが届いていた。
しかし、内容は、いつもと変わらない。
『隆正さん、ずっと会えず、本当にごめんなさい。今週末も予定が入っています』
それを見てため息をつく父。
「飛鳥。まさか飛鳥は…私の事を嫌いになってしまったのでは…」
不安は、どんどん募る。普段ならば、良樹の父・隆正はとても冷静だ。
大会社の社長である彼は
品というものを大事にしていた。
だから、誰かを、つけたり、追いまわしたりするようなマネは絶対にしない。
だが、飛鳥に対してだけは別だった。
飛鳥に会えないという不安な気持ちが
普段はさせない事をも、させ始めた。
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