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目を覚ますと頭に激痛を感じた。…痛みを感じてる時点で生きてる。大丈夫だ。
などと馬鹿な事を考えている。
「…ーここ、どこ?」
どこまでも澄んでいる、作り物の様な空。青々とする木々。そこまでは普通の森の風景だろう。
何故か、キノコが生えていた。
節々痛む体を叩き起こし、周囲を見渡す。
キノコは大小様々なサイズがあり、傘の色も小学生で使った半透明水彩絵の具くらいの量があるのではないか?と疑う程の色とりどり具合だった。
「キノコ…キノコ…キノコ……」
ここ、森だよな?
「森に巨大キノコなんて非現実的じゃねえか!?」
山ならありかもしれない。
虚しく谺する叫び声にため息を吐く。
仕方がない。この微妙な森を歩こう。
暫く歩くとキノコの上に人影のような不気味な物を見かける。
普通だったら此処で第一森人発見!とかなるかもしれない…だが…。
「あれは、人なのか?」
明らかに、シルエットが可笑しい。人に見えないし。何故、キノコに乗っている。
何故、明らかにとわかるようにこっち見ている。
火竜はジト目で睨みつける。
関わりたくない、絶対にだ。そう考えていたらおそらく人影はこっちらに微笑みを向けて…キノコを降りた。
そして、微笑みながら口を開いた。
「やぁ、ご機嫌よう。アリス…」
と。良かった人違いだ。オレはアリスではない。
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