一日目③友達

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一日目③友達

「あなたが子どもの頃からずっと、ずっと、ずっと見てきました。あなたは笑いませんでした。あなたは泣きませんでした。あなたは怒りませんでした。あなたの瞳はどこまでも澄んでいました。現実がそこにあると知ってなお、見下している目でした。あなたの唇はどこまでも軽快でした。命の鼓動が弱まっていくのを知ってなお、見放しているリズムでした。あなたの心はどこまでも穏やかでした。死ぬ為に産まれてきたのだと知ってなお、見通している海でした。あなたの笑みが、泣き顔が、怒り顔が、瞳が、鼓動が、心が。私は知りたいと思いました。私はいつしか、あなたに恋をしていたのでした――」
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