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涙が溢れる。視界がぼやけている。
涙が止まらない。嗚咽を必死に堪える。
関係――無いはずないじゃないか。
ぼくとあいつは友達だったんだ。他人だったかもしれないけれど、それ以上に友達だったんだ。
あいつが死んで哀しい?
そんなの当たり前だ。
胸が引き裂けそうなくらい哀しいに決まっている。
哀しい。苦しい。痛い。
「ぼくは――」
涙の味を感じながら、言った。
「あいつが死んだのが……すごく、嫌だ」
「はい」
「あいつがいなくなって、哀しい」
「はい」
「……っぐ……ひっ……う……」
もう言葉は出なかった。口の中は哀しみと嗚咽で一杯だった。
「今の私にあなたの哀しみを無くすことはできませんけど」
ふっと。背中越しに、感じるはずのない温もりが、伝わってくる。
「今はただ――あなたの傍に」
夜が、ふけてゆく。
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