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腰まで真っ黒な髪。病院では当たり前の白い肌。真っ白なワンピース。
ちんまりと。
ほっそりと。
ぼくと同じくらいの歳の少女が座っていた。
どうやら先ほどの声の主はこの娘(こ)らしい。ぼくの反応を伺うように、くりくりの瞳をこちらに向けている。
ぼくは、
「いや、全然暑くないけど」
普通に当たり前のことを答えた。
「えー、暑いですよ。頭大丈夫ですか?」
あたかも常識を問うように心配されてしまった。
「いや、クーラーかかってるし。窓閉まってるし。28℃設定だし。ついでにところで君は誰?」
「あ、どうもこんにちわ。『ゆうこ』です。しがない自縛霊やっています。以後お見知りおきを」
そう言って女の子はぺこりと頭を下げた。
「へえ……あ、出口はあっちだよ。扉一つしかないけど一応ね」
「これはこれはどうもご丁寧に――ってえ、なんでやねん!」
椅子から立ち上がり、ドアの方へ二三歩歩いたところで、びしっと振り向く。ノリツッコミというやつだろうか。特に面白くはなかった。
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