4157人が本棚に入れています
本棚に追加
/100ページ
ぼくの反応が薄いからか、どんどん自縛霊{ゆうこさん(仮)}の顔が引きつっていく。
とことこ。すとん。
そして、何事もなかったかのようにまた椅子に座った。
「――どうも、吹きすさぶ自縛霊こと幽霊のゆうこです。ゆうこさん、って呼んでください」
「へえ……あ、出口はあっちだよ」
「これはこれはどうもご丁寧に――ってえ、そっちは窓やないかい!」
もう一度振ってみたけれど、やっぱり面白くはなかった。ゆうこさんとやらがみるみる内に小さくなっていく――ような気がした。
「――それで、その吹きすさぶ自縛霊(笑)こと幽霊(笑)のゆうこさん(爆)がどうしてここにいるのかな?」
「口で笑笑言わないでくださいよ!そして何故か私の名前だけ爆だー!!」
なんというか、賑やかな人(?)だった。思わず病院ではお静かにという注意を忘れてしまうくらい。
こほん。
と、仕切り直しとばかりにゆうこさんが咳をする。手が小さいし顔も童顔なので、その大人っぽい仕草は全然似合っていなかった。
「――それにしても、全然驚かないんですね。私幽霊ですよ。こんな可愛い女の子なんですよ?病室に二人きりですよ?」
「まあ、信じてないしね。君が幽霊なんて。どこからどう見ても人間だし」
「むむぅ、スルースキルも一級ですかい。スペック高いですねえ。――では、証明して見せましょう」
言って。ゆうこさんが右手をパーにして掲げる。
最初のコメントを投稿しよう!