一日目①序章

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「――?」 一体全体突然唐突にどうしたというのだろうか。 気でも触れたのか。 だったら不幸中の幸いである。ここは病院だし。頭の病気も治療してくれるかどうかは分からないけど。 「ハイターッチ!」 心配するぼくを余所に、ゆうこさんが言った。掛け声のような大きさだ。 「病院ではお静かに」 「あ、はい。ごめんなさい――ってえ!……その通りですね」 しゅんとうなだれるゆうこさん。得意(?)のノリツッコミを途中で投げ出した辺り、本気で反省しているようだった。 悪い人ではないらしい。 だからどうしたという話だが。 「え、と。その、醜いメス豚の私にタッチなどしていただけないでしょうか?」 意味と意図は通じた。でも言い方はおかしいと思った。 ぼくは身体をずらして、ゆうこさんと正面から向き合う形になる。 視線を合わせると、彼女は、 にへら、と微笑んだ。 毒気どころか生気さえ抜かれそうな笑みである。 「はいたーっち」 ゆうこさんの声に合わせて、右手を振り上げる。そして、彼女の手に今にもと触れようかといった、次の瞬間。 すかっと。 ぼくの手が爽快に、空を切った。image=376090789.jpg
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