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不思議に思い、何度か繰り返すも結果は同じだった。狙いを外したわけじゃない。ぼくが生理的嫌悪感から、無意識に彼女を避けたという線もたぶんおそらくないだろう。
「ふっふーん」
何故か得意気に胸を張るゆうこさん。ぺったんこ。餅つき。真っ平ら。まな板の上の鯉。色んな言葉が思い浮かんだけど、口には出さなかった。
「――? どういうこと?」
「どうも何も、私が幽霊だからですよ。幽霊に人間は触れられません。常識です。あ、何なら胸にでもタッチしてみますか?出血大サービスです。血なんて流れてないんですけど。どうせ触れないですし」
調子に乗り始めた。
まあ、せっかくの機会なので、ぼくはまた手を振り上げる。
ふにゅん
「お――?」
「はい――?」
ふにゅん。むにゅん。
おぉ、無くてもやらかいんだ。新発見。
「い――」
い?
「いやぁぁぁぁぁああ!!」
生まれて初めて殴られた相手は、幽霊だった。グーだ。せめてパーにしてほしかった。
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