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検証してみた。
どうやら、ぼくがゆうこさんに触れられないのは両の手――それも、ぼく側も手を使用した時だけらしい。
つまり、ゆうこさんはぼくを殴れるし。ぼくは手以外なら、ゆうこさんに触れる。
もう一度言う。
検証、したのだ。
「…………」
ゆうこさん、顔が真っ赤だった。さっきからずっとうつむいている。そろそろ彼女がここにいる理由を聞きたいのだけれども、とても訊ける雰囲気ではなかった。
「ところで、何の用なの?」
口はどこまでも正直だった。
ゆうこさんが顔を上げる。微妙に引きつった笑顔を浮かべていた。
「その前に、私が幽霊だと信じていただけましたか?」
「まあ、今まで手に触れられない人間は見たことが無いから」
「そうですか。私も頑張った甲斐がありました。つきましては一つお聞きしたいのですが、何故あなたは私の身体に触れらりゃれりゅのでしょうかっ」
噛んでいた。
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