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「サインして、サイン!」
「はいよ!」
「ちょーだい」
「いいッスよー」
「僕も!」
「焦んなって」
次はちびっこ三人組だ。
そうこうしてると、時間が近づいてきてることに気付く。
「んじゃ、そろそろ行くわ!
応援、よろしくな!」
すると、さっきサインをしたちびっこ三人組が
「せーの…」
『ブリッツボール教えて!』
なんてことを言ってきた。
「これから試合だって」
「じゃあ、終わってから!」
「あ、今夜は・・・えーっと・・・」
まずいなー、今夜はさっきの女の子と遊ぶ約束しちゃったし・・・
「今夜はダメだよ」
さっき雰囲気が一人だけ違っていたの男の子が、小さく、でも、周りにはハッキリと聞こえるようにつぶやいた。
「だろ?明日明日」
オレはその言葉に便乗し、とりあえずここは話を流しておきたかった。
「絶対だよー?」
「約束ッス!」
試合は今日が最終日・決勝なわけだし、明日なら時間も作れるだろう。
ちびっこ達はその約束をかなえてもらえるように、両手を前に掲げ、空を仰ぐように両手を広げて円を描くと、胸の前で両手のひらでまた小さな円を作り、お辞儀をした。
お祈りだ。
このお祈りは、ザナルカンドではお礼をしたり、それこそ何かに祈る時など、みんながやっている。
オレはちびっこ達にブリッツを教える約束をした。
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