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頬と唇との微妙なラインにキスを繰り返す。彼女のしなやかな長い髪をゆっくりと撫で下ろしながら、口元への愛撫を続ける。
丹念に首筋を攻めると、やがて彼女の身体が踊り始めた。
丸い曲線を描いた彼女の腰に腕を回し、ぎゅっと抱き寄せる。
右手で乳房を柔らかく揉みしだき、その舌で直に乳首を舐める。
彼女が吐息を漏らし出した頃に、ゆっくりと肌を這いながら湿った下着の中へと手を忍ばせる。
愛液にまみれながら、ひたすら彼女を苛め続ける。
そして、潤んだ瞳を見てやっと本当の口づけを交わす。
同じ『女』という生き物を、何人抱いても、何度抱いても、いつも違うSEX。
愛が有っても、愛が無くても、いつも同じSEX。
それでも交わり合うのは、俺も生き物であるという証なんだろうか。
彼女の中に入ると、一気に熱い波が押し寄せてくる。
汗でべとつく肌を擦り合わせ、唇を重ね合い、ひたすら快楽を求め合う。
生き物の営み。
全てが終わった後、環希は廉嗣に新たな要求をした。
「私の愛は重いよ。見た目程爽やかじゃないよ。それでも、私と付き合ってくれる?」
そんな環希の哀願に、廉嗣は目を合わす事なく、ただ無機質に答えた。
「ああ…。」
環希はそれ以上何も言わず、すがる様に廉嗣に絡みついていた。
まるでその身で廉嗣を縛りつける様に。
先に眠りについた環希の隣で、廉嗣は天井を見つめ続けていた。
心が動かない。愛に抱かれても、快楽にまみれても。
俺は壊れている。
平凡ですらない。
ただの、ガラクタなんだ。
今夜もまた、あの悪夢を見るのだろう。
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