少年工科学校

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少工の生活は、高校と自衛隊が混ざったようなものだった。 朝6時にラッパ放送で跳ね起き、寮の前の広場で点呼を受ける。 その際、上半身裸にジャージ姿となって、解散までの間280人の生徒たちは一心不乱に乾布摩擦をする。 食堂は3学年分の人数が収容できる広さで、混雑を避けるため学年ごとに時間をずらして食事をとった。 この食堂内では、後輩が先輩方に対して元気よく挨拶をする声で賑わう。 食堂内に限らず、どこであっても挨拶は欠かさないのが少工だ。 これは、敬礼として徹底されていることで、欠礼すれば上級生や職員らに大目玉を食らうことになるからだ。 課業時間になると、区隊(クラス)ごとに集まり区隊長に対して敬礼し、朝礼を行う。 朝礼の後、教場に向かうまでの道のりで、行進訓練を行う。 列、足、腕などを合わせ、パレードさながらの足取りで行進する。 少工は月に1度パレード行進を行い、そこで9つある区隊で優秀な区隊を表彰するというものである。 そうやって、あどけなさが残っていた少年たちは次第に自衛官らしい顔つきに変わっていく。 これまで挙げてきたものはほんの一部であり、全てを文章で表すのは僕の腕では難しい。 それくらい、少工の生活は僕の人生の中で大きな存在だったと思う。
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