”メルヘンチックに生きれたら”

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知らぬ間に、ハイネは通っている小学校へ足を進めていた。勝手に足が動く。あっという間に学校に着き、校舎内に踏み込んでいた。時刻はもう夕方の6時、ボロボロで汚い学校だ。生徒数も、そんなに多いわけでもなく、小さい校舎だった。廊下の階段をゆっくりと一歩一歩踏み締めて歩く。階段の端っこの方には、ホコリが溜まって蜘蛛の巣が張られていた。2階へ上がると、すぐに職員室がある。すると、たまたま副担任のマーシー先生が書類をいっぱい腹に抱え出て来た。 「おう!ハイネ君じゃないか。……こんな時間にどうしたんだい?忘れ物でもしたのかい?」 先生が心配そうな顔をしながら尋ねてきた。 「いいえ………何でもありません。」 ハイネはうつむいたまま、また階段を登っていった。
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