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孤独なロボット
ある小さな町の片隅
ここはどこだろう
気づいた時目の前には男がいた。
私はロボット
男は毎日毎日私に話しかけた。
時には私を見て笑った。
時には私を見て泣いた。
私に"心"というプログラムを作るためだと言う。
だけど私にはわからなかった。
笑う意味が、泣く意味が心というものがなんなのか。
ある時、その男は私に向かってつぶやいた。
「ごめんな、やっぱり俺には出来なかった。でもお前がそばにいてくれたからいつも1人ぢゃなかった。今幸せだよ、ありがとう。」
そう言って男は動かなくなった。
どれだけ時間が経ってもまた私に笑いかける事はなかった。
1人にされたロボットの目からは涙が溢れた。
「ヒトリニ、シナイデ」
男がいなくなった研究所は1つの明かりもなく年を重ねるごとに酷く汚れていった。
「サビシイヨ‥」
「今、アナタト過ゴシタ日々全テ思イダシタヨ。今ナラ分カル気ガスルヨ。アナタガ、教エテクレタコト。アナタガ、笑イナガラ私ニ、話シカケテイタ言葉モ、泣キナガラ私ニスガリツイタ理由モ、私ハ、知ッタヨ、喜ブ意味ヲ、悲シム意味ヲ。アリガトウ。アリガトウ。」
あれから3年が経ったある日の事だった。
ギィィイイ―ドアが開いた。
何年ぶりにこの古びたドアの音を聞いただろう。
誰かが研究所に入って来た。
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