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シンが完全に眠りに入る直前、部屋にノックの音が響き、ドアの向こうからアイの声が聞こえてきた。
「お食事の用意が出来ましたので、お呼びに伺いました」
「分かりました、今でます」
ベッドから起き上がり、身だしなみをある程度整えてドアを開け、ドアの前にいたアイに促され、ついて行くとシャンデリアや長いテーブルなど、まるで中世の貴族が食事をしていたような場所だった。まぁ、実際ギルバートは貴族なのだが。
館の他の場所には無かった煌びやかな装飾に呆気にとられていると、長いテーブルの上座に座っているギルバートが口を開いた。
「お待ちしていましたよ、シンさん。貴方には色々とお話したいこともあります」
「俺が答えられることなら何なりと答えますよ」
これは本心であるが、恐らく幾つかは答えられないであろう。いきなり、異なる‘世界’から来たなどと言われれば狂人扱いか変人扱いは間違い無い。
「しかし、そんな堅苦しいものは料理のあとでいいでしょう。アイさん、料理を持ってくるように言ってくれ」
「畏まりました。旦那様」
アイはそう言うと手に持っていた鈴を鳴らした。すると、今入ってきた通路とは違う通路から滑車に乗った料理が運ばれてきた。
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