一章 新たな‘世界’

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運ばれてきた料理を味わいつつ完食した後に気付いた事だが、料理はやはりヨーロッパ系統のものばかりで日本独自のものなどはやはり無かった。そのことに寂しさを感じつつ、ギルバートの質問を待った。 「では、食事も終わったことですし、質問に移らせてもらってよろしいですかな?」 「ええ、大丈夫です」 「では三つほど質問させていただきます。一つ目は貴方はどこの国の出身ですか?失礼な言い方ですが貴方のように一般常識を殆ど知らないにも関わらず、【飛翔】の魔法を長時間出来るような方が育つような国を私は知りません」 最初からかなり厳しい質問をしてくるものである。まさか本当のことを言うわけにもいかないので咄嗟に思いついた答えを口にすることにした。 「実は俺、山奥で父親と二人で育ったんですよ。父親は殆ど魔法しか教えてくれなかったから、あんまり常識が無いんです」 100%嘘なわけでは無い。事実、六歳でモルグに引き取られてからずっと魔法の練習に明け暮れていたし、十二歳からは山奥で生活していたから半分近くは本当のことである。
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