一章 新たな‘世界’

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「成る程、それならば納得出来ますな。では次の質問です。貴方の持っている布袋の中身は何ですかな?」 「あれは山を降りる前に父が持たせてくれた鉱石と宝石です」 「ちょっと見せてもらえませんか?」 何故そんなものに興味を示すのか解らなかったが、特に拒む理由も無いので頷き、布袋の中身の鉱石と宝石をテーブルの上に置くと、ギルバートの表情が驚きに変わった。 「ミスリルに紅蓮石に蒼海石とは…シンさん、貴方の父親の名前は何と言いますか?」 「モルグです」 「なんと!あの英雄モルグの御子息でしたか。それならば、そこまで魔法の扱いが慣れていることにも納得出来ます」 魔法学院の理事長にコネがあるくらいなので、ただ者では無いと思っていた養父だが、やはり普通の魔法使いでは無かったようだ。 「いえ、父と言っても養父なので直接血がつながっているわけでは無いです」 「いえ、あの英雄モルグに魔法を教わったと言うだけで相当な箔がつくと言うものです。しかし、シンさんはご存じ無かったようですね。教えてもらえなかったのですか?」 「はい。全くそんなこと言われませんでしたよ。でもまぁ、父の名を使って有名になったところで意味はありませんからね。父の名を使う気はありませんよ」 そう言うと、ギルバートはやや驚きながら、納得した表情をした。
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