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‘世界’が違えども時間というのは平等に過ぎていく。故に朝も、どの‘世界’にも等しく訪れる。そして、この‘世界’にも朝が訪れた。
「朝か…。まだ眠たいけど…今日は魔法学院に行く日だっけ。仕方ない、さっさと起きよう」
シンは体をベッドから起こし、一度伸びをするとベッドから降り、昨日寝る前に渡された寝間着から、昨日も着ていた普段着に着替え、貸し与えられた寝間着をしっかりと畳んでから大きな欠伸をした。
「まだ眠い…まぁ、昨日はあまり眠れなかったしな」
眠れなかった大きな原因は二つある。一つは明日から本格的にこの世界に生きる身となることによる不安。もう一つは心の底にあるストレスだった。幾ら割り切っていても自分だけがどうしてこんな目に。と思いストレスを感じてしまうのは人間なら仕方ないことである。
色々不満と不安を抱えつつ、僅かな荷物を持ち、部屋をでた。
昨日覚えた食堂までの道を歩き、やがて食堂に到着した。食堂の扉を開けると、ギルバートが既に奥の席に座っており、手前の席とギルバートの席の前にはクロワッサンにスクランブルエッグ、焼いたベーコンとやはり洋風な軽めな料理が置いてあった。
まぁ、貴族の食事でもこんな質素なのか、ギルバートだから質素なのかは判断に困るところではあったが。
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