30人が本棚に入れています
本棚に追加
某県某市
住宅街とは離れた山奥にある小さな小屋、その小屋の前で一人の男と一人の少年が話をしていた。
男の名はモルグといった。180はあろうかという高い背。金髪で、坊主頭。顔には深いしわが刻まれ、あごに少し髭を生え、目つきが尋常ではなく悪い。という、一目見ただけでは絶対に悪人に間違われる顔付きをしており、見るものを威圧するような雰囲気を放っていた。
少年は男の頭一つ分くらい低い160後半くらいの身長に少々童顔ではあるが十人に聞いたら九人は美形だと答えるであろう容姿、そして今にも倒れるのではないかと思うほど病的に白い肌だった。しかし、彼を見て真っ先に目がいくのはその瞳であろう。
彼の瞳は‘紅’かった鮮やかな‘赤’ではなくまるで血液のような深紅だった。しかし、髪は短髪で癖っ毛で日本人特有の黒髪だった。これで黒目ならば何の変哲もない日本人なのだが、紅と黒という色合いに何となく不吉なイメージを持つのは人間の性だろう。
二人は暫くの間見つめ合っていると少年の方が先に口を開いた。
「今までお世話になりましたモルグさん。天涯孤独な俺を育ててもらった恩は忘れません」
「忘れてくれて構わんよ。いつも言っているが俺がお前を育てた理由は罪滅ぼしだ。自分の保身のために目の前の子供一人を逃がすことしか出来ず、自分の罪の重さから逃れるためにしたこと。言わば自分のためだ」
「それでも俺を助けてくれて、育ててくれたことには感謝してます。それに力の使い方も教えてくれた。モルグさんが拾ってくれなかったら俺は多分壊れていたでしょうから」
最初のコメントを投稿しよう!