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馬車の中でギルバートから聞いた情報を頭の中で整理していると、急に馬車が停止し、ギルバートから声がかかった。
「着きましたよ、ここが魔法都市クレイルです」
外を見ると、そこにはさながら城壁のような壁に包まれた街があり、目の前には鋼鉄で出来ていると思わしき扉と重鎧を着て、片手に槍を持った兵士がいた。兵士はギルバートに気付くと近づき、一礼した。
「お久しぶりです。エルリッシュ公爵。今回は何か収穫がありましたか?」
「売上は前回同様にかなりのものですよ。それと道中に面白い少年に会いました」
「そうですか、その少年とはそちらの方ですか?」
兵士はシンに手を向けギルバートに問いかけた。
「ええ、そうです。では開門をお願いします」
「分かりました。開門だ!公爵が戻ってこられたぞ!」
兵士が扉に向かって叫ぶと扉は徐々に開き、やがて扉が開くと住人達が道の真ん中を開け、道の両脇に詰めかけていた。
「お帰りなさいませ!エルリッシュ公爵!」
「長旅お疲れ様でした!」
などの人々の怒号にも似た歓声にギルバートは笑顔で手を振りながら進んでいった。一方シンはあまりの声の大きさに馬車の中で耳を塞いでいた。
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