我が故郷

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 そのことが何を意味するか。察しの良い読者諸賢に置かれてはお考えの通りであるが、他所の豊かさは羨望や、妬みの気持ちに変わり、次いで自虐の念も産まれる。「あんなに色々あると便利だなぁ」「どうして我々の地元は、大阪のように開けていないのだろう」「和歌山が都会なら、わざわざエヴァの映画を観に大阪まで行かなくても済んだ」という具合にだ。 すると人間というのは、良い場所良い土地に移り住んできた本能であろうか、住みよいと判断したその町に居を構えたいと謳いだす。その結果が私の友人各位のような「こんな町はもうこりごりだ」と嘆く若者達を生み出した。それならそれで、出ていくなり勝手にしてくれて構わないのだが、自分の家の良い所には目もくれず、隣の芝生にばかり憧れるというのも何とも寂しい話である。 そして現時点では、和歌山が世界で一番美しい町であると信じている者は、まだまだ少数派だというのが現状である。
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