真夜のサイクリング

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真夜のサイクリング

 今でもそうなのだが、子供の頃から道に迷うと下手に動いて、尚更事態を悪化させていくという癖があった。まさにその癖が招いた出来事である。  私は1週間のうち4日ほども学習塾に通う小学生であった。あの時間を利用して遊び惚けていればなぁと、しばしば後悔する。塾は毎回7時頃に終わった。しかし、毎回真っ直ぐに帰宅したわけではない。友人とゲームショップを冷やかしに行ってみたりしたのが一番多かったように思うが、カードゲームをするためにだ。  よく8時頃に帰っては親に叱られたものだが、当時からボケッと過ごしていた私は何食わぬ顔で毎日のように門限を破った。不道徳で親不孝者である。放任主義の我が両親が遂に怒り心頭に達したのは、小学5年生のある真夏の日の事である。
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