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「なぁ……隼人?俺今さ、すっげぇ暑いんだけど」
陸哉が小さな声で、目の前に座っている隼人に言った。
隣に座っている亮平も、何故か感慨深げにうんうんと頷いている。
隼人はどこかイラついたような顔を見せて、渋々口を開いた。
「そうだな。暑いだろうな。今日の最高気温は50℃とかそんなもんだろ。そんな日の真っ昼間にこんな公園にいるんだからそりゃ暑いよ」
「だあーっ! そういう意味じゃなくてっ! 涼しいとこに行きたいなってこと!」
暑い癖に怒鳴り、わかってよもう、と口を尖らせる陸哉を見て、隼人はチラッと亮平に目を遣った。
もともと馬鹿なやつだが、この余りの暑さで頭がおかしくなったかのような顔をしている。
集まってから五分と経っていないのに、彼のポロシャツは汗で濃くなっていた。
……仕方ない。
不本意だがまぁ、この公園にいたら全員熱中症になるのがオチだからな。
「……わかったよ、俺の家に来るか?」
「ホントっ!?」
「ただし、条件付きだ。家に来ても絶対に俺の部屋から勝手に出るなよ? 探検でもしようものなら追い出すからな」
隼人の冷酷な目を見て、陸哉と亮平はコクコクと頷いた。
そんなことよりも、エアコンの効いた隼人の家に行けるならなんだっていいのだ。
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