6人が本棚に入れています
本棚に追加
/8ページ
ゆらゆらと緩やかに昇っていく湯気を見つめて、亮平は小さく息を吐いた。
いくら隼人の家は涼しいからって……熱い珈琲じゃなくても良くね?てか、珈琲とか苦いの俺、飲めねーし……。
涼しい顔して飲み干した隼人を恨めしく思いながら、おそるおそる珈琲に舌をつけてみる。
「熱っ!」
もともと猫舌なのもあり、それは想像以上に熱くて舌先を火傷したみたいだ。
ちょっとだけ舌を出し、冷気に充てて確認していると、真向かいに座る陸哉が小さく笑った。
「……なんだよ」
「悪い悪い、お前があんまりにもアホ面してるからさ」
「うっせ! 俺は猫舌なんだよ」
亮平をからかいながら、陸哉はマドレーヌに手を伸ばした。
相変わらずだが、隼人のお母さんはマジで料理が上手い。
このマドレーヌも焼きたてで、すごくふわふわな食感と香ばしさが食欲をそそった。
「……んで? そもそも俺たちがあんな暑い公園に集まったのはなんの用だったんだ?」
「そうそう、俺もそれちょっと気になってたんだよな」
呆れたように眉をつり上げて二人を見ていた隼人が口を開くと、舌を引っ込めた亮平も同調して陸哉を見た。
そう、目的からずれてしまったが、今回この三人を召集したのは陸哉なのだ。
.
最初のコメントを投稿しよう!