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「え? ……あぁ、そっかそっかまだ言ってなかったっけ」
一瞬惚けた顔をした陸哉は、それでもすぐに用件を思い出した。
束の間の沈黙があったからか、窓を抜けた蝉の鳴き声が先程よりもうるさく耳にはいってくる。
「あのさ、俺たち今日から夏休みじゃんか?」
「正確には明日からだけどな」
隼人の鋭いツッコミに、陸哉は首を竦めて訂正した。
「もう、細かいな……。まぁ、明日から夏休みじゃん? だからさ、柚子とバイトしないかって話してたんだよ」
「なんだよ、結局のろけ話か? 全く羨ましいヤツだな!」
すかさずちゃちゃを入れた亮平に、陸哉はちげーよ、とあっさり否定の言葉を返した。
ついでに、
柚子とラブラブだったら、二人だけでバイトしてるわっ!
と、小さく心の中で悪態をつく。
「つまり、一緒にやろうってことだろ? 陸哉、なにか当てでもあるのか?」
「まぁ、あるっちゃあるけどさ。先に言っとくけど、……文句は柚子に言えよ?」
隼人に返事をしながら、陸哉は、柚子がどこかから貰ってきた怪しいチラシを頭に思い浮かべていた。
どう考えても、怪しすぎて隼人に却下される可能性が高い。
考えただけで憂鬱になった陸哉は言い渋りながらもチラシをかばんから取り出した。
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