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「……なぁなぁ、これ見ろよ」
しばらく舐めるようにじっくりとチラシを見ていた隼人が、紙の隅っこを指差す。
つられて二人も紙を覗きこみ、首を傾げた。
紙の本当にはじっこに、小さく小さく書いてある文章。
「七人様セットで募集させて頂いております? ……へぇ」
七人。
それを見た陸哉は思わず、指折り数え始めた。
「ここにいる三人と柚子と……四人しかいないじゃん」
「いやいや、柚子のグループ四人なんだから、そいつら連れてくればいいだけの話だろ?」
「あ、そっか。じゃあ、俺、柚子に電話して聞いてみようか? そいつら集められるかどうか」
話を黙って聞いていた隼人は、いつのまにかこのバイトをする前提になっていることに気がついた。
最初の争点は、怪しいというだけだったのに。
そう思うとなんだか、全てが不気味に思えてきて隼人は小さく身を震わせた。
柚子に電話をかける陸哉。
嫉妬混じりにからかう亮平。
いつも通りの普通の光景。
なのに、隼人はなんだか全てが仕組まれているような……そんな不安に駆られた。
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