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「ハァハァハァ…ゲホッ」
僕は走った。
ただ全力で。
ただひたすら。
咳き込むけど走りつづけた。
こけて膝を擦りむくが僕は走った。
僕の体は限界を迎えて倒れ込む。
「ハァハァ…逃げ切った」
包丁を装備した鬼婆とセーラー服のストーカーからは逃げ切れたようだ。
「よいしょ…」
立ち上がり、そして学校に入る。
靴を出すと一枚の紙が入っていた。
〈お前の事はなんでも知っている…三時間目の途中に屋上に来い〉
脅迫状…。
あ~っ!!クッソ!!ラブレターかと思って、ときめいた僕の純な心を返せっ!!
怒りの余りにロッカーを蹴飛ばす…。
「なにやってんの?」
背後から声が聞こえ、さっと後ろを向く。
そこには僕の友達の少女が立っていた。
「委員長…」
彼女はクラス委員長をやっていて、僕とは遅刻常習犯のよしみだ。
『遅刻マスター』と呼ばれた僕より後に来ると言う、委員長ではあるまじき事をしている…。
「珍しいね委員長。僕と同じ時間来るなんて」
彼女は照れたように笑った。
「これでもクラス委員長だからさ…早く来ようと思って…」
彼女は遅刻さえしなければ学校一の最優秀生で、勉強はモチロン体育や格闘技までこなす天才だ。
僕とは真反対ですね。
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