第1話〔死神現る〕

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走って走って走り抜く事数十分。 走っている自転車、バイク、車すら追い越す速さ。 きっと世界陸上・短距離で渡り合えるだろう。 『はぁはぁはぁ……こ、ここま…でくれば、はぁ…はぁ』 〔あのー、すいません。話し聞いてもらえます?〕 霞はさっきと同じ声が聞こえると、近くの階段に腰を降ろし呟いた。 『はぁ…はぁ……ふ、不幸、だわ』 明らかに「目には見えない者」だと認識出来たが、不思議と恐怖心が無いことに気付いた。 そして幽霊なら走って逃げても意味が無いことも。 『もう何なのよ!! あっ!! もしかして私が不幸なのは貴方にとり憑つかれてるからなの!?』 〔え? いや俺はとり憑いてなんか……〕 『だって貴方、幽霊でしょ!? 悪霊なんでしょ!?』 〔あ、悪霊って失礼な人間だな!! 俺は悪霊なんかじゃない、死神だ!!〕 『……はい? 死…神?』 本日二度目の思考停止。 悪霊と聞くだけでも最悪だが、「それ」は悪霊を否定した。 一瞬肩を撫で下ろしたが、次の一言で頭の中が真っ白になった。 『死神って、ふ、不幸だわ……』
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