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走って走って走り抜く事数十分。
走っている自転車、バイク、車すら追い越す速さ。
きっと世界陸上・短距離で渡り合えるだろう。
『はぁはぁはぁ……こ、ここま…でくれば、はぁ…はぁ』
〔あのー、すいません。話し聞いてもらえます?〕
霞はさっきと同じ声が聞こえると、近くの階段に腰を降ろし呟いた。
『はぁ…はぁ……ふ、不幸、だわ』
明らかに「目には見えない者」だと認識出来たが、不思議と恐怖心が無いことに気付いた。
そして幽霊なら走って逃げても意味が無いことも。
『もう何なのよ!! あっ!! もしかして私が不幸なのは貴方にとり憑つかれてるからなの!?』
〔え? いや俺はとり憑いてなんか……〕
『だって貴方、幽霊でしょ!? 悪霊なんでしょ!?』
〔あ、悪霊って失礼な人間だな!! 俺は悪霊なんかじゃない、死神だ!!〕
『……はい? 死…神?』
本日二度目の思考停止。
悪霊と聞くだけでも最悪だが、「それ」は悪霊を否定した。
一瞬肩を撫で下ろしたが、次の一言で頭の中が真っ白になった。
『死神って、ふ、不幸だわ……』
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