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赤髪の男は後ずさりながら街路樹に背を付ける。
それを見ながら死神は大鎌を振り上げ、ニコッと笑い一言。
〔無駄な魂は獲(か)りたくないんだけど、お前ムカつくから、その魂で償ってもらおうかな〕
そして振り下ろす。
だが赤髪の男は同時に腰を抜かし、大鎌を運よくかわす。
その直後にズシンと街路樹が倒れる。
『ま、マジかよ……』
〔恐怖で腰抜かすくらいなら最初から威張らないでよ。
さて、どうしますか?
このまま立ち去るか、それとも、これから長いであろう自らの人生をこの場で終わらすか。
どちらでも構いませんよ。〕
死神は赤い瞳を輝かせる。
『た、助けてー!!』
『ば、バカ!! 置いてくなよ』
男二人は半ベソをかきながら何度もコケて逃げた。
そして、周りには街路樹が倒れた事により、人が集まりはじめていた。
〔あちゃー。騒ぎすぎたか……ほら、逃げるよ〕
『え? ちょっと何!?』
死神は霞の腕を掴み抱き寄せながらローブの中に入れる。
『ちょっと!!』
〔ちょっと黙っててよ。今は姿は見えないけど、君の声は他の人間に聞こえちゃうから〕
確かに周りを見るといつの間にか野次馬が凄い。
そして隣に見知らぬ人が立つが死神と霞には気づいていないようだ。
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