第1話〔死神現る〕

14/16

40人が本棚に入れています
本棚に追加
/103ページ
『ねぇ、気になったんだけどさ。今、私は貴方の姿を見てるわよね? 私に見えてるって事は他の人にも見えてるって事?』 死神は蝋燭を消しながら言う。 〔この状態なら見えてるハズだね。 死神は霊体の一つでもあるけど、存在自体が特殊なんだ。 最初みたいに完全に姿を消す事も出来るし、今みたいに実体化して姿を見せる事も出来る。 声は今の状態なら他の人間にも聞こえるけど、姿を完全に消した場合は死神が接触した・または接触するターゲットにのみ声は聞こえる〕 『ふーん……だったら、ずっとそれでいなさいよ』 〔なんで?〕 『姿が見えない時に話してたら私が可笑しく見えるでしょ? 姿が見えてれば不思議じゃないし。 って言っても、その格好じゃ危ない宗教にしか見えないわね』 死神の漆黒のローブに素足という姿を見て溜め息する霞。 〔死神みて溜め息とは失礼だよ君は〕 『霞。私の名前は天野霞』 〔何、名前で読んでほしいの?〕 『私は悪霊でも死神でも無いちゃんと名前のある人間なの!!』 〔わ、わかったよ。名前で呼べばいいんだろ?〕 人間の天野 霞に完全に押され気味の死神。 この死神は態度だけ見れば完全なる草食系だ。 想像や聞いたりしていた死神の姿とは違く、完全に裏切られた気分の霞だが、疑問は沢山あるが恐怖心は完全に無くなっていた。
/103ページ

最初のコメントを投稿しよう!

40人が本棚に入れています
本棚に追加