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〔やっぱり消えない……〕
と、苦笑いする死神。
数分前に移動するからと姿を消そうとした死神だが、どうやらさっき逃げる際に霞をローブの中に入れたのが原因で姿を消せなくなったらしい。
『ちょっと、どうするの?』
〔宙には浮けるんだけど〕
フワフワと宙に浮く死神。
霞は呆れて何も言えない。
『ちょっと待ってて』
〔まさか逃げる気? だとしたら無駄だよ〕
『無駄なのは、さっきので解ったわよ。
そんな格好で着いて来られたら私が困るから、服買ってきてあげる』
〔死神の俺に人間の服を着ろって言うのか!!〕
『貴方、さっき死神は神に名を連ねてるって言ってたわよね?
その神様が人間に後ろ指を差されて笑われるのは嫌でしょ』
〔確かに……〕
『だったら任せてよ』
霞は走って服を買いに行った。
〔なんで俺が人間の世話にならないといけないんだ……ってか何で姿消せなくなったんだろ?〕
死神は木陰で腰を降ろし、あぐらをかきながら腕を組み首を傾げていた。
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