第1話〔死神現る〕

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30分後、霞が大きな袋をぶら下げ帰ってきた。 額から汗が流れ落ち、走ってきたのが見て取れた。 『はぁー疲れた!! やっぱりさ、名前あった方がいいよ』 〔いきなり何?〕 『いや、服選んでる時に思わず「死神に合う服下さい」って言っちゃったからさ』 〔それと名前の話は別物だと思う。 さっきも言ったけど、俺は死神だから名前なんか無いっていうか必要無いから。 ……だけど、そんなに名前で呼びたければ勝手にして構わないよ〕 意外な死神の返答に少し驚いた顔の霞。 そして笑顔で考えた名前を言った。 『じゃあ……カイは?』 〔カイ? 何か意味はあるのか?〕 『うん!! 無いよ!!』 〔無いのかよ!!〕 『ごめんごめん。本当は飼ってた犬の名前だったんだ。 でもカイは私が子供だった時、車に引かれそうになった時に私を庇って死んじゃったの…… 貴方もさっき私を助けてくれた。だからカイ!!』 死神も馬鹿じゃない。 人間の感情は手に取るように分かる。 霞は帰ってくる時、たかが名前に必死になって考えてきた。 〔カイ……か。霞がそれでいいならそれで構わない〕 『本当!? じゃあ今から貴方はカイ。 何か不思議な感じだけど、改めて宜しくね』 霞は本当に理解しているんだろうか? 今、目の前にいる存在が自分の魂を獲りに来た死神だという事を。
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