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冥府。
そこには冥府神と骸の死神が話をしていた。
『冥府神。あの者は予定通り、あの人間と接触したみたいです。
予想通り、姿を消せなくなったと……』
『やはり、あの者の魂には人の魂のカケラが残っていたか。
自らカケラを消し去り本当の死神として生まれ変わるか、人の魂を宿しそのまま……』
『死神として私が言うのもなんですが、冥府神は慈悲がお有りですね』
現世では霞とカイがファーストフード店にいた。
霞はポテトなど普通に食べているが、カイは人間の視線が気になるらしい。
それは言うまでもなく、全身黒づくめの異様な雰囲気を放つ客が来ればザワつくだろう。
〔霞、よくこんな場所で落ち着いていられるね。
俺は……耐えられない〕
『それはカイが死神だからだよ。人間なら普通だよ』
霞が死神らしからぬカイの引き攣っている顔を見て笑っている。
〔クソ!! 皆の魂獲り取ってやろうかな〕
『無理に魂は獲らないんじゃなかった?
今食べ終わるから待ってて』
「うーん」と、うめき声をあげる今のカイの姿は、死神と言うよりは人間にしか見えない。
〔早く冥府へ帰りたい…〕
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