40人が本棚に入れています
本棚に追加
/103ページ
店から出た二人は宛もなくただ歩いていた。
そこで霞が思い出したようにカイに話す。
『そういえばさ、死神って明るい所に出てて大丈夫なの?』
そう言って隣を見るがカイの姿が無い。
後ろを振り向くと、店前の日陰で座っているカイがいる。
『ちょっと大丈夫?』
〔明るい所は好きじゃないんだよ〕
『皮膚が焼けるとか言うんじゃないでしょうね』
〔それって吸血鬼だろ? 死神はそんな事はないよ。
ただ俺の場合、眩しい場所にいると体力が消耗するんだ〕
カイの顔は駄々をこねる子供に見える。
霞はしゃがんでカイの顔を覗くようにして見る。
『見れば見る程、死神には見えないわね』
〔し・に・が・み・だ〕
『分かった分かった。じゃあ、これ被ってたら?』
霞は腰に掛けていた自分の帽子をカイの頭に乗せる。
『少しは日避けになるでしょ?』
〔ん~……〕
『何、不満なの!?』
〔あ、いや。さっきよりはマシかな〕
『はあ……なんだか私より貴方の方が不幸に見えてきたわ』
最初のコメントを投稿しよう!