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『ちょ…はぁ……はぁはぁ。い、いつまで走るの!?』
〔振り切るまでだよ〕
『も…もう、ダメ……』
日中でも人通りの少ない公園に着いた時、今日走りっぱなしの霞は足を止めた。
「今は」後ろから、追ってくる男の影はないが言葉に出来ない感覚で分かる。
「まだ追って来ている」と。
〔人間は威勢はいいけど、体力無いんだな〕
『体力…無くて……はぁ、わ、悪かった、わ、ね』
〔仕方ない。これを頭から被ってそっちで隠れてなよ〕
カイは漆黒のローブを霞の頭から被せる。
『……暑っ!! 物凄く暑いんけど!!』
〔死にたくないなら、我慢しなよ〕
と、走ってきた方から足音が聞こえてきた。
〔前にも言ったけど声は出さないようにね。
霞は人間だから、姿は見え無くなっても声は聞こえるから〕
その時、カイの視界に痩せこけた男の姿が目に入る。
そう、その男はさっきカイが「悪霊に取り憑かれている」と言った男。
今、男は睨むようにカイに視線を定めゆっくり歩み寄ってくる。
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