現を見れば

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       *  絶頂に達してから数分の時が過ぎた。  この夢での自慰はもう手慣れたもので、いった後の痺れるような満足感を堪能し、いつもの片付けに入ることにする。  ややふらつく足に無理をさせて勉強机まで移動し、そこに置いてあるティッシュを数枚手に取る。  それからベッドに戻ってするのは、シーツの濡れた部分を拭く作業だ。  夢だというのに、これを残したまま現実に戻るとそこがカピカピになってしまう。  だから学んだ。  そういえば先ほど取ったティッシュも、箱の中身がもうじきなくなりそうだった。  クローゼットの奥に予備があったはずだから、なくなったら替えようと思う。  さて、次に行うのは着替え。  脱ぐことはだいぶ前に終えていたので、クローゼットからてきとうな服を見繕う。  着るのはパンツとシャツを一枚ずつだ。  ズボンやスカート、ブラは部屋の隅に放置するとかさばるのでやめた。  学んだ結果だ。  そこまで終えればとりあえずすることはなくなるので、ベッドに腰掛け、何となしに姿見を見やる。  ……痩せてきたなぁ。  頬は痩け、見える肌に艶は見にくい。  骨と感じる箇所も増えてきたなぁと感じたところで、見ることを中断する。  視線は首と共に上へ。  代わりにするのは、仰向けでベッドに寝転がることだ。  最近は一回で限界。  それ以上は試す気持ちが湧かないほど、体力が持っていかれる。  ともすれば現実に戻るしか手段はない。  戻れば、きっと次もいつもみたいにできるのだから。  
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