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しかしそこまで現実に酷似している夢の中でも、先に挙げた細かなものを除き、確かに異質なものはある。
それは例によって、女に成っていることだ。
しかし成るとは言っても、面影を残してはいない。
とても原型が分からないような変貌、あるいは別人に成り変わるのである。
その変わり様と言ったら、部屋のそれとは真逆そのもの。
女の髪は肩にかかるかどうかの黒髪で、肌は白いと言うよりやや青白い。
決して肉付きの良くないひょろりとした体型が特徴的で、肌の具合とあいまって病弱そう――いや何か病んでいそうに見えないこともない。
だが全体のフォルムを見れば、なかなかに美的感覚に訴えてくる。
痩せているため頬に膨らみは見られないものの、鼻筋はすっと通っており、目も大きい。
唇も形が良く、ルージュを塗ればきっと映えるに違いない。
それぞれが程よいバランスに保たれた顔は、街中でもあまり見かけないくらいのものだ。
どう見ても元の外見とは似つかない差である。
似ている点を挙げるとすれば、年齢と身長くらいなもの。
年は姿見で見たままであれば二十歳と少し、いややつれ具合も鑑みればその前後だろう。
身の丈は家具との対比で変化が見られなかったから、元と同程度のように思う。
つまり女の中でもなかなか背が高い方だ。
いわゆるモデル体型というやつだろう。
綺麗ではあるが、しかしかなりの痩せぎす。
あまりに不健康そうだ。
もう少し肉を付けた方が綺麗に見えるだろうにと、そう考える。
だが一方で、夢の中の女に見惚れているかもしれないと思う節がある。
それは、恋心とは少し遠く思える感情だ。
身内に感じるような親近感。
毎日同じ夢を見ているからだろうか。
夢の中の女には、それに似た何かを感じていた。
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