想いを巡らせど

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   だが体は正直とでも言うのだろう。  恐らく初恋となった女の体の中にいるということは、その女を手に入れたも同然。  つまり好きにできるということである。  いくら夢の中で女に成っていようと、現実では性的なことに興味を持つ健全な年頃だ。  とあらばすることは一つしかない。  ――好きな女の体で自慰。  下世話な話だが、これほど魅力的かつ本能に沿う行為はないだろう。  しかもこれは夢。  夢の中の女をどうしたところで何もありはしないのだ。  ならばそこに罪悪感が芽生えることはなく、行為に対しての障害はありえない。  だから女として初めての自慰は、何の取っ掛かりもなく始められた。  部屋のベッドに腰掛け、下半身の服をもぎ取る。  左手は服に潜り込ませて上へ、右手は直接下へ。  僅かな羞恥と多大な好奇心がまぜこぜに。  その時の感動は今でも覚えている。  それは当たり前のように初めての女の自慰行為だ。  加えて初恋ということもあり、女のそういった部分に触るのは初めてのこと。  酷く拙い動きになるのは仕方ないことだったが、それでも有り余るほどの快楽だった。  女のそれは男の比ではないと聞いたことがあるが、夢の中にも適応されるらしい。  アダルトビデオで見たものを思い出しながら見よう見まねに手を、指を動かす。  利き手で股間を集中的にいじるようにし、空いた手で手のひらに収まるほどの乳房を触る。  荒く、時折痛みを感じるそれでもきっちり果てることができた。  力みすぎで、絶頂のすぐあとに足をつってしまったのは今でも苦笑ものだが。  
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